インペを繁殖させよう

 私がインペリアルゼブラプレコを飼い始めた2000頃、この魚を繁殖させるのは夢のような話でした。数少ない情報と稀にみる産卵成功例だけではなかなか成功に結びつく事ができず、同じように繁殖を試みる人達の集まる掲示板でのやりとりが生きた情報の源として役立っていました。それがここ数年の間に、ブラジルの輸出禁止が相まって、繁殖への感心が非常に高まってきたようです。繁殖に挑戦する人も増え、以前にもまして情報交換が盛んに行われるようになり、繁殖成功の話も頻繁に耳にするようになりました。それは、インペの繁殖方法がかなり確立されてきたと言うことではないでしょうか。今後さらにすばらしい情報が出てくるかもしれませんが、現状において良いと思われる方法を紹介していこうと思います。


インペを選ぼう
 まず性的に成熟し健康なオスメスを選ぶのが大前提です。インペは最低1ペアいれば産卵する可能性を持っています。しかしいろいろな所で言われているように、性別判断はとても難しものがあります。インペ繁殖の際、複数飼育を基本とするわけはここにあるのではないでしょうか。インペを新しく購入する場合(現状では難しいのですが)体型・髭の長さ・胸びれの棘の有無・ひっくり返した時の性器付近の違いなどを確認し、なるべくペアをひく確率をあげるようにしましょう。

水槽をセットし環境を作る
 産卵後の稚魚の飼育も考えて、60cm規格水槽以上をお勧めします。もしスペースの問題があればそれ以下でもかまいません。産卵が成功しても、その後に稚魚の育成という次のステップが待っていますので、なるべく水質が綺麗に保てるような環境が好ましいと思います。水温に関しては繁殖例をみると、28℃をキープしている場合が多いようです。ただし26℃でも産卵報告例はありますから、許容範囲はあるようです。飼育環境は濾過がしっかりと機能した水を作ることが大切です。またもともと水流の割と強いところに生息していますので、流れを作ると言うよりは、酸素がよく水に溶け込む環境を作る事が大事だと言えます。低床に関しては飼育者の好みにおおじて、ひいてもひかなくてもかまいません。ただベアタンクの場合は、シェルターを入れた時にそれが動かないよう工夫する必要があります。また水質に関しては弱アルカリが好ましいという話もありますが、中性前後の飼育であればとくに問題ないと思います。

産卵床を用意しよう
 インペの水槽内繁殖試みる場合、産卵床となるシェルターは必需品です。直径3cm前後、奥行き10〜15cmくらいの片側が塞がったモノを用意します。今のところそれが一番産卵実績のあるタイプです。シェルターに関しては粘土を使い自作する事も可能ですし、筒型の竹炭、また最近ではそれを目的として作られた市販品も出てきています。通販などを利用すればどれも簡単に手に入れられるはずです。インペの好みを想像しながら選ぶのも楽しみの一つだと思います。

インペを水槽に入れる
 とくにコツというモノはないのですが、注意をするなら水合わせです。この魚が一番病気を出すのがこの時だからです。例えばエアチューブを使いサイフォン式で時間をかけて行います。その際水温が下がらないように注意してください。以前この方法を行った時に、水槽は28度に対し水合わせ先は24度まで下がっていた事がありました。病気がでたら繁殖どころの話では無くなってしまいますよね。

落ち着ける環境を
 普段の飼育方法はほかの熱帯魚とかわりありません。ただインペはとても警戒心がつよい魚なので、できれば水槽を落ち着いた場所に置くのが理想です。またインペは美し姿をしたうえに、更に姿を見せないという飼育者泣かせなところがあり、どうしても水槽を長時間のぞき込んでしまいます。これが一番飼育者にとって難しいことなのですが、繁殖だけを考えた場合、餌あげと定期的な水換え意外、なるべく放っておくことが大事です。産卵させると割り切るのであれば、ライトもいらないと思います。

オスメス判断ができる人は
 インペには相性があるようです。その為ペアで長期飼育をしても産卵しない事があります。オスメスの判別が可能であれば、数ヶ月ごとにオスまたはメスを入れ替えるのもひとつの手段です。

産卵の周期は
一度産卵したペアは、その後上手に飼育すると数ヶ月(例外もありますが)は続けて産卵します。産卵の周期はだいたい1ヶ月〜1ヶ月半のようです。これは飼育環境によってもかわるので、なかには3ヶ月、半年とかなり間があくケースもみられます。稀に数回で止まってしまう事もありますが、ペアがそろっていればまたいつかペアリングをする可能性は大いにあると思います。

なかなか繁殖できない場合は
 こればかりはどうにもできないのですが、やはりあせらず長い目で見ていくのが一番です。長期飼育を前提に飼育の基本をきっちりとこなしていくことです。インペを飼育し始めて数年たって初めて稚魚に出会った人も多くいます。それに現在は産卵の基本とする部分がしっかりとしきていますので、稚魚に出会える率がぐっとあがってきました。大事にしっかりと飼育していれば、きっとカワイイ稚魚に巡り会えると思います。

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