卵を確認したら

 インペのペアリングはシェルターの中で行われます。オスが自分のいるシェルターにメスを引き入れ、ペアリングが成功するとシェルターの中に卵を確認する事ができます。直径3mm前後の乳白色の卵が十数個(10コ以下の場合もあります)、葡萄の房のようになっています。感動の瞬間ですね。卵はオスがしっかりとシェルターの中で守っています。この卵を孵す作業は「親に任せる」、「人工孵化させる」の2つの方法がとられています。卵は非常にカビやすく、なれないうちは親任せにしたほうが安心です。稀に親が卵の世話を放棄したり、シェルター外に卵を出してしまう場合がありますので、その時は否応なしに人工孵化に切り替えます。卵は水温により孵化までの時間がかわります。早いと4日くらいから始まり、平均的にみると5〜7日ですべてが孵化するようです。無事に孵化しヨークサックをつけた稚魚が姿を現せば、さらにすばらしい感動がまっています。


親任せにする
 オスは卵が孵るまで、口とヒレをつかい新鮮な水がいきわたるようしっかりと世話をします。その間飼育者はじっと我慢をし、オスがしっかりと世話に集中できるようにします。また孵化した稚魚は水質の変化に弱い為、この時期にしっかりと水替えをする事を薦めます。亜硝酸や硝酸塩濃度が高い場合は1/3〜1/4の水替えを毎日行っても良いと思います。その際水温はしっかりと合わせ、なるべく刺激にならないようゆっくりと行います。また、産卵確認後にシェルターの入口を少し持ち上げる方法もあるようです。なにかの拍子に、卵が外にでないようにするためです。このあたりの事は掲示板などでも交換されている情報なのでいろいろと相談されることをお勧めします。

人工孵化させる
 人工孵化させる場合よく使われるのが産卵箱です。他にフィーダーカップや、水作エイトなどを改造しているケースも見かけます。ケース類はスリットやパンチ穴のある、なるべく水の出入りがしやすいモノを選びます。そこへ隔離した卵にほどよい水流を与えるようエアレーションするか、フィルターのシャワーパイプ等を使い、水が澱まないように工夫します。人工孵化はなれている人は良いのですが、なれていない人にはあまりお勧めできません。その理由は後述しますが、卵がシェルターから出てしまったなどの事故でない限り、産卵後2〜3日親にまかせ、それから隔離すると孵化率もあがるようです。また卵の段階で別水槽に移すという方法もあるようです。

卵はカビやすい
 卵はとてもカビやすく、とくに無精卵はカビる傾向にあります。孵化までの日数にもよりますが、長ければ長いほどカビの出る確率が上がります。先ほどのべた人工孵化の問題点もここにあります。カビを防止する手段としてメチレンブルーを使用する人もいます。メチレンブルーはあくまでも薬ですので、量にはくれぐれも注意して下さい。使用する量に関しては人それぞれですが、飼育水にほんの少し色が付く程度にとどめておくのが良いと思います。万が一卵の一部にカビが生えてしまった場合、進行はおもいのほか早く、放っておくと全てがあっという間に全滅します。房になってる卵はなかなか切り離せませんが、躊躇せずその部分を、場合によってはその回りの卵もすぐに切りはなし捨てるようにします。

無精卵と有精卵
 産んだばかりの卵は乳白色をして透明感がありとても美しいモノです。それが日が経つにつれ、色の違いを見せてくるモノがでてきます。それが無精卵です。有精卵は目や脊髄らしきモノが形成されつつも乳白色をしていますが、無精卵は透明度がなくなり白く濁ってきます。この無精卵が非常にカビ易いと言えます。またかりにカビなくても次第にその形は崩れ、有精卵にいい影響はあたえません。インペのオスが卵を世話している場合には、これを上手く取り除いているように感じます。

そのほかに
 初産の卵は上手く孵らなかったり、オスが世話を放棄するケースがみられるようです。この場合2度目から上手くいったという話も聞きますので、気をおとさず次回の産卵に期待しましょう。また理由ははっきりとしませんが、稀に親が卵を食べてしまうこともあります。食卵は他の魚にも見られる事ですが、環境やその他要因になりそうなものを取り除いても繰り返すようであれば、早い段階での人工孵化への切り替えも考慮したほうがいいかもしれません。

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